本を通じ居場所を作る。私設図書館というサードプレイス。
こんにちは!AWAKE&編集部です。会員の皆様の人生観や、大切にしていること、日々の気づきなどをお伺いする、「AWAKE&会員インタビュー企画」をお届けします!
今回は名古屋で私設図書館を運営する、土山 昂也さんをお招きし、私設図書館をはじめた経緯から運営される中でのストーリーについて詳しく伺いました。
Profile
土山 昂也(つちやま こうや)
1991年、愛知生まれ。あだ名は「つっちー」。大学卒業後、地元企業に就職。2020年夏に退職し、旅に出る。旅中に私設図書館の構想をし始める。2022年3月に私設図書館もんを名古屋でオープン。視力はすこぶる良好、眼鏡は伊達である。Instagram:@mon.library
偶然の連続が導いてくれた私設図書館との出会い
—— 今日のゲストは、AWAKE&会員の土山昂也さんです。現在の活動内容を教えてください。
こんにちは、土山 昂也です。名古屋で「私設図書館 もん」を運営しています。本を通して、子供たちや地域の方々の居場所・サードプレイス作りを目指しています。
—— 私設図書館をはじめた経緯を教えてください!
4年前に人文学を手に取るようになりました。歴史、ノンフィクション、社会問題、など未知な内容ばかりで、刺激の連続でした。
すると自然と社会に目が向くようになり、「社会に対して自分には何ができるのか?」と考えるようになったんです。それからもっと世界を知りたいという意欲が沸き、会社へ退職を宣言。パンデミックで海外渡航が難しくなったので、国内の旅をスタートしました。
—— 国内の旅と私設図書館との出会いについて教えてください!
国内の旅では中国地方、四国地方を回りました。最初に訪れた岡山で初めて私設図書館の存在を知り、そのあと広島県尾道の「さんさん舎」に出会いました。
「さんさん舎」はサードプレイス、第三の居場所として地域に溶け込んでいます。学校に行っていない小学生とお母さん、小さな子どもを連れた親子、リモートワークをしてる大人。
全員が1つの空間を共有している様子を見て、自分もこれなら出来るかもしれないと思ったんです。それで私設図書館を始めようと決意しました。加えて『子どもたちの放課後を救え!』という本に出会えたことも、きっかけです。
それからは物件探しの旅となり、最終的に地元愛知で決定。2022年3月に私設図書館もんをオープンしました。
—— つっちーさんの子供時代にも、こういった場所は近くにありましたか?
いいえ。子どもの頃はずっとサッカーをしていました。中学生の頃、学校に行きたくない時期もありましたが、当時は学校に行くしかないと思っていました。今振り返るとそういうとき気軽に行ける場所はなかったですね。もしかするとその記憶も今に繋がっているのかもしれません。
対等に見てくれていることが何より嬉しかった。
—— 私設図書館を運営する中で感動したエピソードがあれば教えてください!
日々感動エピソードがあるのですが、ここでは大きく感動した話3つを紹介します。
1つ目は、当時小学2年生の子が私設図書館もんのインスタグラムのQRコードを彼女自身のアイディアで、手書きで描いてくれたことです。「やってみたい!」と図書館で始めて、その後おうちへ持って帰り、閉店前ギリギリに完成したQRコードを走って持ってきてくれたことは嬉しい思い出です。
2つ目は、じゃんけん大会のことです。
2023年3月26日が私設図書館もん1周年でしたが、イベントを企画する予定はありませんでした。しかし、小学4年生の女の子2人がじゃんけん大会を開催したいと言い出し、開催日として偶然にも3月26日を選びました。
—— まるで神様からの1周年記念のプレゼントのようですね。
そうですね!その子たちは「じゃんけん大会で儲けたらつっちー山分けしようね!笑」と言ってくれました。僕を対等に見てくれているんだと思い嬉しかったです。
彼女たちには「失敗するかも」という概念はありません。集客目標や、売り上げ目標を立てずに企画を進めていて、1人でもお客さんが来てくれれば良し。ただただ楽しむためのイベントづくりを教えてもらいました。結果じゃんけん大会は大盛況!ちゃんと売上は山分けしてもらいました(笑)
才能溢れる子どもたちから刺激を受ける日々
3つ目は、図書館で使っているカウンターチェアの話です。革張りのものが古くボロボロになったので、趣味で革小物を作る中学生の女の子に声をかけ、仕事として張り替えをお願いしました。
元々1枚の布が張られていたのですが、なんと、カラフルなパッチワークのデザインに張り替えてくれたんです。
とても素敵なカウンターチェアに生まれ変わり、驚きと共に感動しました。日々このような才能溢れた子どもから刺激を受けて過ごしているので、感動することばかりです。
—— 知らず知らずのうちに子どもたちの成功体験になっていますね!
そうですね。今後に活きる経験となっているのであれば嬉しい限りです。僕はあまり準備段階で口出しをしないようにしていて、本当に困りそうな場合だけ「この場合どうなると思う?」と訪ねる形で声をかけ、自分たちで考えてもらうようにしています。
この本に出会っていなかったら、進む道も変わっていたと思います。
—— 図書館長である、つっちーさんおすすめの本を3冊教えてください。
それでは、この私設図書館を始めるきっかけになった本を紹介します。
1つ目は、シンガーソングライター小沢健二さんの「うさぎ」です。
この本がきっかけで人文学の本を読むようになりました。地球環境や人権にまつわる社会問題が物語調で書かれていて、多様な論文、小沢さんが世界を巡った体験談が基となっています。とても読みやすく、楽しんで読めるのでおすすめです。
2冊目は、川上敬二郎さんの「子どもたちの放課後を救え!」です。
現在、学童保育や習い事など放課後のサービスが値上げされ、利用のハードルがあがっています。結果、放課後に手持ち無沙汰になる子どもが増えて非行や犯罪に巻き込まれるケースが増加していると、この本で問題提起されています。
この問題に対し、あるNPO法人は何か得意なことがある大人を先生に迎えて、教室を開いているそうなのです。僕も私設図書館を利用してこのような活動も始めたいな、と構想を練っていました。
—— そんな現状があるとは知りませんでした。これらの本の影響は大きそうですね。
はい。この本に出会っていなかったら、進む道も変わっていたと思います。1冊目で社会に目が向き、2冊目で自分の社会に対する向き合い方を考えさせられました。
そして3冊目が、寺井奈緒美さんの「生活フォーエバー」です。短歌とエッセイが載っています。作者の日常生活の半径5m以内で起きた出来事が書かれているのですが、普通は気付けない些細な出来事を俯瞰して捉え、ユーモアに言語化しているのが特徴です。笑いもあり、胸にグッと刺さる内容もあり、ページをめくる手が止まりません。
この本は自分が体調を崩したとき心救われた1冊でもありました。私設図書館が人々の日常生活に溶け込むには、当たり前ですが開店している状態が不可欠です。
来てくれる人のためにも、自分の体調や、日々の生活を大切にしようと思えました。
お金を払っているいないに関係なく利用できる場所
—— 私設図書館もんを運営するにあたって大切にしている考え方があれば教えてください。
私設図書館を開設する前から決めていたことがあります。「わけない」「決めつけない」という2点です。
ここにはコーヒーを飲むカフェ利用の人、本を借りに来る人、話しに来る人など様々な目的の方がいます。僕は利用目的によって空間を分けたり、こども、大人と年齢で場所を隔てることはしていません。どんな目的の方にもフラットな状態で接することを大切にしています。
—— 素敵な考え方ですね。
お金を払って利用してくれることはもちろん嬉しいのですが、だからその人が偉いという意味にはなりません。お支払いに対するサービスを提供すれば、その時点で全員フラットに戻るのです。お金を払っているいないに関係なく利用できる場所づくりを目指しています。
AWAKE&の鑑賞会が、次のアクションへのきっかけになった。
—— AWAKE&の鑑賞会を開催されたとお伺いしました。何か反響はありましたか?
私設図書館のイベントとして、AWAKE&の動画鑑賞会を開催しました。みんなで同じ動画を見た後に感想を共有したところ、人それぞれ感じ方が違い、1人で見るだけでは気付けない視点を持つことができましたね。
中でも驚いたのは、気候変動コースのことです。動画を見て、抵抗を感じていた方がいたんです。しかし後日、講師の谷口さんのイベントが近くで開催されたとき、その方自ら直接足を運び、大きく感銘を受けて帰って来られました。AWAKE&の動画鑑賞会が次のアクションへのきっかけとなったことが嬉しかったです。
ボーダレスジャパンの、ハチドリ電力を使用しています。
—— つっちーさんがAWAKE&で好きなコースはどれですか?
ソーシャルビジネスコースです。この動画を見て久々に憧れの感情を抱きました。講師のボーダレスジャパン代表田口さんの話を聞き、関わる全ての人にとって良い形でマネタイズできている点に感動しましたね。ちなみにですが、私設図書館もんではボーダレスジャパンのハチドリ電力を使用しています。
僕とゲストの関係だけで終わらせない。
—— みなさんに知ってほしいこと、活動があれば教えてください!
「こういう人いますよ」ということをまず知ってもらえたら嬉しいです!そしてYouTubeやPodcastも行っており、Podcastではゲストが自分の好きなものについて熱く語っています。現在出演者を募集中です!
またゲストへの報酬として、ゲストの「ほしい物リスト」を用意し、それを見たリスナーさんが商品を購入し、私設図書館を介してお渡しできる仕組みをとっています。
—— とても喜んでいただけそうですね!
みなさんとても喜んでくれます。Podcastを通し、実際に空間は共にしていないけど時間を共有した感覚になれて、贈り物で感謝を伝えることができる。直接私設図書館もんに来られない人でも楽しめるコンテンツです。
僕とそのゲストの関係だけで終わらせない、リスナーの方にも関係をつくってもらえることが魅力の1つだと思っています。
—— 私設図書館もんのカラーが表れていますね。素敵なお話をありがとうございました!
エシカルライフスタイルを学ぶ
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【AWAKE&(アウェイク アンド)】
AWAKE&が大切にしているのは「学び続ける」こと。各分野で活躍する講師の方々から学び、視野を広げながら、エシカルライフスタイルを無理なく実践することができます。