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「美味しさ」を追求していくと、環境や身体に優しい選択に繋がった。

こんにちは!AWAKE&編集部です。会員の皆様の人生観や、大切にしていること、日々の気づきなどをお伺いする、「AWAKE&会員インタビュー企画」をお届けします!

今回は北海道でオーベルジュの経営をされている佐藤美智子さんに、食のこだわりや、北海道移住、宿泊施設の経営についてお話いただきました。

Profile

佐藤美智子(さとうみちこ)
常時全食材の9割以上にオーガニックを用いたオーガニックオーベルジュ「エルバステラ」経営。町民団体ナカノワ代表。野菜ソムリエプロ(約7万人中の100名に選抜)。敷地内の自家菜園で野菜等を100種類以上を無農薬・無肥料栽培。YouTube「オーガニックホテルの野菜レシピ」ではオーガニック・無添加・ヴィーガン料理のレシピを紹介中。

Youtube:@erbastella-organic
Instagram:@erbastellamichiko


東日本大震災を機に北海道への移住を決意し、夫婦二人三脚で奮闘した10年間

—— 今回のゲストはAWAKE&会員のみちこさんです。自己紹介をお願いします。

初めまして。私は愛知県出身で、大学卒業後は札幌や福島で働いていました。その後、北海道中富良野町で“オーベルジュ”という「宿泊付きのレストラン」を夫婦で経営しています。今年で10年目になります。

—— オーベルジュをやろうと思われたキッカケは何でしたか?

夫がスノーボーダーということもあり、雪山の近くで夏に働ける仕事をしたいということで、中富良野に移住しました。もともと夫は、東京で会社員をしていたのですが、「田舎暮らしをしたい!」という夢があったので、ペンションやイタリアンの店で修行をしたのち、オーベルジュを立ち上げました。

—— ご結婚されてすぐ中富良野に移住されたのですか…?

実は結婚した当初、私がまだ前職の職場でやりたい事があったので、夫に福島県へ来てもらい、新婚生活を始めました。しかし、結婚して3か月で東日本大震災が起こってしまって…。
原発の心配もあり、会社の配慮で若い社員は福島県外に異動となったのですが、私たちは、将来中富良野でオーベルジュを立ち上げることは決めていたので、予定より早く退職し、夫と北海道に移住する決断をしました。

—— 東日本大震災を経験されて、生活が一変されたんですね。

はい、震災を経験して「健康」についてすごく真剣に考えるようになったと思います。放射能被害のこともかなり詳しく調べましたし、「健康に生きるためには…?」という問いと向き合う機会が自然と増え、私自身の意識も大きく変わりました。

—— それだけ突然の転換期を迎えられると、やはり葛藤もありましたか?

中富良野町に移住する際は、正直かなり葛藤しました…。でも、実際に移住してからは、そんなことを考えている暇もなく、毎日バタバタ悪戦苦闘しました。
一から経営を始めたので、右も左も分からなかったのですが、幸い私が前職で経営について学ばせてもらっていたので、そこで蓄えた知識を振り絞ってなんとかやってこれました。

エシカルな暮らしとは「美味しい食事」と「心地のいい環境」があること

—— AWAKE&を知ってくださったキッカケは何でしたか?

Instagramを見ていた時に、たまたま流れてきて「面白そう!」と思ったのがキッカケです。入会した理由は、同じ興味や関心を持つ仲間との繋がりを欲していたからです。

私が住んでいる中富良野町の人口は約4700人で、いわゆる過疎地なんです。お陰様で、北海道内にはたくさんの「仲間」はいるのですが、高齢者の多いこの町には「友達」と呼べる繋がりがなくて…。
だからこそ、オンライン上でも同じ興味や関心を持つ人と繋がれて、刺激を受けれるというのはすごく嬉しいです!

—— AWAKE&のコースの中で好きなコースはありますか?

「気候変動コース」です。実は、2020年12月に谷口さんのお話会を、私が代表を務める「ナカノワ」という町民団体で主催していて、谷口さんの活動を個人的にも応援しているということもあったので、すごく興味深かったです。

—— 他にもございますか?

ホリスティックヘルスコース」です。講義の中で紹介されているダーナビレッジさんは、より家庭料理に近いお料理を提供されていると思うのですが、うちはどちらかと言うと「非日常を体験する場所」として、本格的なお料理を提供しています。どちらも伝えたいことは似ていて、それぞれの良さがありながらも、少しの違いもあって、とても面白かったです。

—— どちらも持続可能な暮らしを体験できるというところがいいなと思います。

エシカルやサスティナブルって、「地球のために何かを我慢して頑張ってる」って思われがちですが、私たちがこの生活をしている本当の理由は「美味しいから・心地良いから」なんですよね。「美味しい」や「心地良い」というポジティブな選択の一つ一つが、身体にも環境にもやさしい選択に繋がっていることを、オーベルジュでの滞在をきっかけに感じていただけると嬉しいです!

—— 「我慢」ではなく「心地よさ」を体験できるというのは、すごく魅力的だなと思います。オーベルジュは年中営業されていますか?

自然を感じて頂けるような空間や、旬の野菜や質の良い食材を使った本格的な料理を通して「非日常」を提供したいので、営業期間はGW〜年末までの6ヶ月と決めています。

—— 冬〜春にかけては、どんなことをされているんですか?

私は町民団体「ナカノワ」の活動や、オーガニック関連、宿泊・飲食関連のコンサルティングやプロモーションのお手伝いなどをしています。夫はフォトグラファーのお仕事もあるので、自分で料理動画を撮って動画編集をしたりしています。

—— まさに「エシカルな暮らし」そのものですね!

料理を見て楽しみ、食べて感動し、身体が健やかになっていく変化を体感してほしい。

—— オーベルジュでは、初めからオーガニック野菜を提供されていましたか?

私たちはもともと、お野菜がすごく好きで、資格も取っていたので「野菜を楽しむ食事を提供したい」という想いがありました。しかし始めた当初は、お肉もお魚も牛乳も卵も使っていました。
運営していく中で「より美味しいものを!」と追求していくと、無添加の食材を使うようになり、「オーガニックの野菜」主に自然栽培の野菜に切り替わっていった感じです。

—— なるほど、そういう経緯があったのですね。

今は慣行栽培の野菜は食べたら気付きますし、オーガニック野菜の中でも、動物性堆肥を多く施された野菜と、自然栽培で育てられた野菜も、食べたら区別が付くようになりました(笑)

—— すごいです!それはなぜでしょうか…?

きっと今までは、身体の感覚が麻痺をしていたんだと思います。本当に美味しいものだけを選んで、食べ続けていると、身体が自ら良いものを求めるようになるんです。逆に、身体に悪いものは害として受け付けにくくなるんだと思います。

—— 身体は正直ですからね…納得です。

オーベルジュでは、もともと野菜メインの料理を提供していましたが、5年前から少しずつ動物性食材を減らし、今シーズンからは、「完全ヴィーガン食」にしました。

私たち自身は、プラントベースではあるものの、完全なヴィーガンではなく常に「自然度」を第一優先に考えて食べるものを選択しているので、添加物の入った代替肉よりは「天然魚」や「ジビエ」などを選ぶようにしています。

—— ヴィーガン食に切り替えられてから、お客さまの反応はいかがですか?

今シーズンお越しいただいた宿泊者の9割以上の方が、ヴィーガンではなかったのですが、みなさん「いい意味でヴィーガンの概念が変わった」と仰ってくださいました。
「野菜だけだと物足りないイメージがあったが、我慢してる感も全くなく、十分満足できる」と言っていただけたのはすごく嬉しかったです!

—— 初めて食べるヴィーガン食が美味しいと、ヴィーガンに対するイメージもポジティブに受け取って頂けそうです。

私たちはそれをお伝えできる場所でありたいと思っています!
まずは、お料理の見た目を楽しんでいただいて、実際に食べて感動していただいて、身体がどんどん健やかになっていくという変化を体感してもらえると嬉しいです。


住む環境と食事が変わると、マインドも変化する。

—— エシカルライフを実践される中、たくさん勉強されましたか?

オーガニック野菜を食べた時に「なぜ自然由来のものはこんなに美味しいの?」という疑問が沸きました。それで「オーガニック」について調べていくと、その背景にある環境問題や健康問題を一つ一つ知っていった感じです。

自分の「美味しい!」という感覚が先で、その裏付けをしていく内に、自然に学んでいきました。

—— 自分の“感覚”を大切にされているんですね。みちこさんが「幸せを感じる瞬間」はいつですか?

畑作業をやっている時です!お仕事は、宿泊者の方が感動してくれたり、興味を持ってお話してくださるのでとても楽しいですが、体力的には結構キツくて…(笑)
なので、野菜を育てたり、生産者と話をしている時が、唯一素の自分でいられる気がします。自然の中にいる時間が、1番幸せかもしれないです!

—— みちこさんの明るい雰囲気は、いつも本当に素敵だなと思います。前向きなマインドで過ごすためのコツは、何かありますか?

決してもともとこういう性格だったわけではなくて、以前は人と比べたり、嫉妬したりもしていました。しかし、他人に対しても、自分に対しても、多様性を認められるようになってから変わったように感じています。

畑自体が多様性の世界なので、自然や植物と生活していると「私ってめちゃくちゃ小さいじゃん!」って思えたのが大きいかもしれないです。

それと、食べるものが変わったことです。
肉食を続けていると、体の中のアルカリ性と酸性のバランスがどうしても崩れてしまって、ストレスや体調不良にも繋がってくるそうです。一方でプラントベースは、草食系動物の性格が穏やかなように、メンタルも体調も穏やかで安定してきたのかなって思います。

—— ありがとうございます。今後の夢や目標があれば教えてください!

私はもう40歳になるので、オーベルジュを今の形態のまま続けていくのは、体力的に厳しいなって感じています。なので、現在1日2組限定のところを、1組限定にして、規模を縮小させていく予定です。

ゆくゆくは、「オーガニックビレッジ」のようなものをつくって、小さなコミュニティーの中で、オーガニックに関わる仕事や、経営方針で何か困っている人や、うまく対応できない人たちに、自分達のノウハウを共有できるといいなと思います。
近くに住んでいる人たちはもちろん、オンラインでも全国の方と繋がって、私たちが何かお手伝いできるお仕事を増やしていきたいです!

味噌作りの様子

—— 最後に…ズバリ北海道に移住してよかったですか?

よかったです!
最近夫には「あの生活を続けていたら、あなた死んでるよ(笑)」って言われました(笑)以前の仕事は、年間100日ほど出張でコンビニ弁当や外食ばかりだったので…(汗)

「私たちの身体は、住む環境や食べ物、関わる人によってここまで変わるんだ!」と実感したからこそ、田舎暮らしはこれからも続けていきたいです!

—— 素敵なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!


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